SKY SOART ψ WINGS第12回公演

ドン・カルロス

 フリードリッヒ・フォン・シラー(1759年11月10日 - 1805年5月9日)はゲーテと並び称されるドイツの劇作家です。彼は、芸術論や哲学においても現代に通じる非凡な著述を残しており、生涯のテーマとなっていた「自由への希求」は、わたしたちに独自の自由な人生を切り拓くエネルギーを与えてくれるでしょう。
 ベートーヴェンの交響曲第九の原詩はシラーです。この詩からも、いかに彼が、魂を揺さぶる霊性高い詩人であったかがわかることでしょう。

 シラーの処女作「群盗」は、センセーションを巻き起こし、盗賊を真似る若者が続出したほどです。観客の心を揺さぶるパッションを保ちつつ、成熟した劇作家となり、「ワレンシュタイン」「メアリー・スチュアート」「ヴィルヘルム・テル」など歴史上の人物を描きました。ヴェルディのオペラでも名高いのが「ドン・カルロス」です。


 この作品は、王家の人間というしがらみやフェリペ王の強権のなか、自らの信じた道を突き進むカルロス王子の葛藤と恋物語、友情物語を描いています。自由奔放さから異端児に見られ、悩みながらも自らの信じる道を見つけ、貫こうとしたカルロス。




 見所はカルロスの物語だけではありません。自分の身を危険に晒してまで臣下として友として、カルロスのために策略を巡らすポーサは、作中最も心打たれる人物かもしれません。
 もう一人の主人公はフェリペ王です。絶対君主であるが故の孤独、家臣への不信、嫉妬と過ちを、シラーはドラマティックに描いています。
 恋物語の中心にいる清らかな精神の持ち主であるエリザベート王妃。この三角関係に更に絡んでくるエボリ公女。カルロスやポーサを陥れようという、王の側近アルバ公やレルマ伯、ドミンゴ司教。登場人物たちが、複雑に、濃密に絡む、シェイクスピアクラスの傑作です。



 残念ながら「ドン・カルロス」の翻訳は非常に古いものしかありません。今回の公演のために、テンポの良い英語版から、現代劇として成立する文体で、約40作品のキャリアを持つ別役慎司が新たに台本を作成して上演します。原作の問題点である冗長さを、スピーディーな2時間舞台に変え、人物間の葛藤とパッション溢れる台本に。小劇場という空間だからこそ、濃密で強力なエネルギーを堪能していただけます。

期間 2012/05/10 (木)~2012/05/13 (日)
劇場 d-倉庫
出演
  • 別役慎司
  • 水地優子
  • 井上健一
  • 出口博晶
  • 井上卓也
  • えんどうまめこ
脚本
  • フリードリッヒ・フォン・シラー
  • 別役慎司
演出
  • 別役慎司
サイト

http://www.stone-wings.com/

※正式な公式情報は公式サイトでご確認ください。

スタッフ 舞台監督・音響……林大介(零's Record)
照明……榊原大輔
舞台美術……Morri/戸井田雄
主催……SKY SOART ψ WINGS
後援……ドイツ連邦共和国大使館
その他注意事項

d-倉庫(東京都)

期間 2012/05/10 (木)~2012/05/13 (日)
タイム
テーブル
劇場 d-倉庫
料金 3,000円 ~ 3,200円
前売り3000円
当日3200円
チケット取扱

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